野外研の記録
(MAKINO 第107 号 P11より 抜粋)
第721回 野外研究会 2016.10.7.

陣 馬 山
久 保 久 枝(本会会員)・磯 部 和 久(本会会員)

 10月7日8時15分にJR高尾駅北口に集合し、「陣馬高原下」行のバスに乗車しました。総勢22名。陣馬山(855m)は「陣場山」が本来の名であると年輩の方は言われ、その事情も聞いていますが、ここでは現在通常使われている前者によります。因みに国土地理院の地図は双方を併記しています。
 今回は、久し振りに門田裕一氏(国立科学博物館 名誉研究員)にアザミとトウヒレン属のご指導をお願いしましたら、「タカオヒゴタイを見たい」とのこと。そうなると、自生地の確認や開花状況など留意しなければなりません。そこで、子松・内田・久保会員は事前に数度下見に出かけ、タカオヒゴタイ、セイタカトウヒレン、オンガタヒゴタイの状況を報告され、門田先生に逐次メールするという方法をとり、その入念な姿勢に門田先生から感謝されました。
(以下略)
【写真:開花中のタカオヒゴタイ(内田典子撮影)】

 


野外研の記録
(MAKINO 第107 号 P11より 抜粋)
第722回 野外研究会 2016.10.29.

多摩森林科学園(キノコの観察)
増 田 保(本会会員)

 本日の講師はキノコの研究をされている根田仁先生。ご自称雨男の先生でしたが、昨日来の雨もあがり時折薄日のさす、気持ちのよい天候のなか、キノコの観察にJR高尾駅北口から徒歩10分くらいのところにある多摩森林科学園を訪れました。二十名の参加者とともに少しぬかるんだ林道を普段気にも留めなかったキノコをさがすのは初めての経験でした。スタート前の根田先生の解説では、生物五界説という分類体系があり、キノコはカビと共に菌類というグループのものだそうです。地上で目にする大小さまざまな形のキノコ、地中では白っぽい菌糸という細胞を張り巡らせて腐らせた木材や枯葉などの有機物を分解して生育しているということです。実はキノコの本体はこの菌糸で、地中では上記のような微細な仕組みがあることをお話ししていただきました。いよいよ林道に入り目立たないキノコをさがすのはなかなか難しいものです。…
(以下略)
【写真:カラカサタケ】




野外研の記録
(MAKINO 第107号 P12より抜粋)
第723回 野外研究会 2016.11.11.

首都大学東京(南大沢)周辺の植物
熊 井 啓 子(本会会員)

 当日は、前日からの雨が降り続き肌寒い1日となったが、21名の参加者が南大沢駅前広場に集合した。その場で牧野標本館客員研究員であり本会顧問でもある加藤僖重先生が紹介された。柔和で親しみやすい雰囲気の先生で、昼食は学生食堂で暖かいものを食べましょうと勧めてくれた。
 南大沢駅から首都大学東京へ向かう街路樹のハナミズキの前で足を止め、先生は私達の前で葉をゆっくりと左右に引っ張った。うまく伸びた細い糸をらせん紋導管と説明された。導管(道管)は根から茎や葉への水分の通路であり、管壁には肥厚の模様がありその一種。トチュウ(杜仲)の葉を引っ張ったときの糸状のものと同じかの質問に、あれはグッタペルカ(ガタパーチャ)という樹液で全く別物であるとのお答えだった。らせん状に巻いた導管は植物によって伸びないものもあるので、葉を引っ張って確かめてくださいとのことだった。
(以下略)
【写真:オオツクバネガシ(坂本アヤ子撮影)】




野外研の記録
(MAKINO 第107号 P14より抜粋)
第724 回 野外研究会 2016.12.17.

浜離宮恩賜庭園(森の観察シリーズ6−都市篇)
手 塚 武 博(本会会員)・磯 部 和 久(本会会員)

 今日は朝から快晴で風も無く穏やかな天気。大手門入口で10時に集合し、総勢39名(講師2名、長谷川義人顧問、参加者36名)で観察会を開始した。参加者の内7名が非会員で今回多かった。
 都市における庭園は、日常生活と自然(特に植物)が関わる身近な接点として非常に重要な場であり、その規模が大きく、時を重ねるほどに生態的に安定してくることにより、緑地の減少に対抗し、活力を与える大きな核となるように重視する、というのがこのシリーズの趣旨のようである。
 講師の谷本𠀋夫会長は、なぜこの庭園にはタブノキが多いのかという切り口から、また、磯部和久会員から庭園の空間構成とランドスケープの視点から、その特徴の説明と案内があった。後者からの説明として、全体として海に面している割には池泉域が半分以上あるのが特徴で、それは将軍などに使われた「浜御殿」の時に、船遊びや鴨場として主に使われたのが原因ではないかということ、タブノキは鴨場の目隠しのため池の周りを囲むように密植され、また遊興の池畔には眺望をよくするために、低いクロマツが植えられ、樹木の効果的な使われ方などの説明があり、実感した。
(以下略)
【写真:樹齢三百年のマツ(クロマツ/手塚武博撮影)】

野外研の記録
(MAKINO 第107号 P15より抜粋)
第726 回 野外研究会 2017.2.11.

落葉樹と常緑樹の冬芽
子 松 時 尚(本会会員)

 前日の夕方から高尾山は雪が降り始めた。当日、日影沢の入口からキャンプ場に向かって歩くが、道路の雪は固く凍っていた。車の往来もあり安全性を考えて、いろはの森の入口から観察会を始める。森に入ると、落葉樹に霧氷が付き白く輝いて見える。冬芽を観る為にまず雪下ろしから始めるので、かなり時間がかかった。
 一方常緑樹の冬芽は、シロダモ(鱗芽)、サネカズラ(副芽を持つ)、キジョラン(裸芽)、フユザンショウ(頂芽は緑色で裸芽)などが見られた。
 今回、常緑樹の冬芽を初めて観察したという方が、多かったようだ。
(以下略)
【写真:高尾山の冬景色(内田典子撮影)】