野外研の記録
(MAKINO 第106 号 P11より 抜粋)
第706回 野外研究会(バス研) 2015.11.8.

奥多摩柳沢峠の紅葉を訪ねて
豊 田 武 司(本会副会長)

 もう50年以上も前になるが、多摩川をさかのぼり車で平家の落人が住むと言われる一之瀬まで入り、雁峠や雁坂峠へ仕事で行くことが何回かあった。その時見た多摩川上流の丹波渓谷の紅葉は素晴らしくずうっと脳裏に焼き付いていた。その紅葉の素晴らしさを多くの人たちに是非見てほしいといつも思っていたので、今回は野外研究会とは異なり群落の紅葉狩りを目的にしてもよいと思い計画をした。
 新宿発8時、バスで奥多摩に向かう。参加者22名。天気予報があまり良くないというので道はすいていて早く到着。出発して1時間ほどで多摩川沿いの道を走っていた。行く道は立派な道路だが急な曲がり道が続く。途中からしとしとと降りだした。時折やむ。残念ながら期待の紅葉は思うほど味わえなかったが多摩川に沿う山肌は小雨の中に煙り紅葉し始めたケヤキ、コナラ、シデ、カエデなどの広葉樹が緑濃いスギやヒノキの中に浮き出ていた。この辺りの紅葉はまだ始まったばかりのようで、山は上部に行くに従い、紅葉の色合いを濃くしていた。
(以下略)

野外研の記録
(MAKINO 第106 号 P12より 抜粋)
第716回 野外研究会 2016.6.5.

植物観察の基礎—花・葉・果実・種子散布体
岡 崎 惠 視(本会会員)

 当日は、午前中は曇り、午後は晴れ。10時に新宿御苑新宿門を入った広場に集合しました。当日の参加者は21名。入場料は、6月第1週の日曜日に当たり、無料でした。
 当日の講師田中肇先生が急に入院・手術されることになり、急遽筆者が代理講師を務めることになった経緯が当日の担当幹事坂本アヤ子氏から説明されました。筆者は教員養成大学で教鞭を執っていましたので、学生や教師を野外に誘う教材開発に取り組んできました。田中先生の当日のテーマは、「受粉のための花の工夫」でしたが、標記のテーマに変更し、植物観察の基礎、身近な植物の生き残り戦略等について説明・解説させて頂きました。午前中は園内で、「門を入って右側の広場→(新宿門)→旧洋館御休所前広場」の経路で観察しました。午後は「温室」で観察を続け、午後2時半頃、温室前で解散しました。
(以下略)




野外研の記録
(MAKINO 第106号 P12より抜粋)
第717回 野外研究会 2016.6.10.

筑波山から
磯 部 和 久(本会会員)

◆牧野富太郎先生(以下、敬称略)ゆかりのマルバクス(いつもカヤラン着生)にまず立ち寄り、筑波山神社から出発しました。神社の低い石垣にホシザキユキノシタとイワオモダカ。
 ホシザキユキノシタ(図1)は筑波山を代表する植物で、市の天然記念物や市の花。最初、女体山の岩壁で松本荒次郎が発見されたように、山頂付近に生育する多年草です。その後壊滅状態にあったこともあり、管理も兼ね神社の境内に移植したようです。ユキノシタの変種(var.)とする牧野説と品種(f.)とする原寛説があり、学名はいくつかみられる。ここでは筑波実験植物園でも使用しているSaxifraga stolonifera Curtis f. aptera (Makino) H. Haraとしておきます。
 同じ石垣にあったイワオモダカ。この希少なシダ類も、環境的にもこのような場所にはあり得なく、上記と同様、移植されたとみられます。
◆さて、今回は「森の観察シリーズ4」。森林生態学が専門の谷本会長を講師に迎え、筑波山の特徴とされる森の垂直分布の変化を観察します。
(以下略)




野外研の記録
(MAKINO 第106号 P13より抜粋)
第718 回 野外研究会(宿泊研) 2016.7.15–16.

軽井沢町植物園と戸隠森林植物園
坂 本 ア ヤ 子(本会会員)・大 城 繁 雄(本会会員)

 7月15・16日の二日間のバス旅行。新宿駅西口8時に出発。参加者27名。講師は谷本𠀋夫会長と豊田武司副会長。今回のコースは、15日は軽井沢町植物園、いもり池、16日は戸隠森林植物園。
 軽井沢町植物園に11時前に到着。新井園長のお話を伺ってから、早めの昼食にする。お昼は谷本会長がご自宅で作ったトマトを山ほど持ってこられて、全員でいただく。
 軽井沢町植物園は高速から15分ほど。園に詳しい会員の岩崎敏子さんが先に待っていてお世話になる。食後、園長の案内で庭園を回る。園内は数多く軽井沢周辺地域の野生種が育っている。ミセバヤ(ベンケイソウ科)(図1)を初めて見る。日本古来の植物で名前は知っていたが感激した。秋咲きなので今は花はない。スイカズラ科のヒョウタンボクが何種類も見られた、どの木も真っ赤においしそうな実をつけているが毒実だから危険。
(以下略)

野外研の記録
(MAKINO 第106号 P15より抜粋)
第719 回 野外研究会 2016.8.19.

成東の食虫植物
牧 野 澄 夫(本会会員)

 819日、15名ほどの参加で、千葉県成東での観察会。モウセンゴケやミミカキグサのような食虫植物は、喘ぎあえぎ登った会津駒ケ岳、尾瀬のような湿原でやっとあえるものと思っていた。こんなところに湿原があるのか、平地じゃないか、簡単に行ける。当日観察された主なものをあげる。
 コモウセンゴケ、モウセンゴケ、ホザキノミミカキグサ(図1)、ムラサキミミカキグサ、ミミカキグサ、イヌタヌキモ(水槽飼育)、以上食虫植物。ヒメナミキ、ミズオトギリ、ノアズキ、タヌキマメ、キバナノマツバニンジン、アリノトウグサ、ヒナノカンザシ、ハナビゼキショウ、ヌマトラノオ、ヒメシロネ、イヌゴマ、ゴマクサ、ツリガネニンジン、コバギボウシ、コオニユリ、ナンバンギセル、……
(以下略)

 

野外研の記録
(MAKINO 第106号 P15より抜粋)
第720回 野外研究会 2016.9.24.

渡良瀬遊水地の植物(3)
子 松 時 尚(本会会員)

 前日まで谷中湖周辺は冠水が続き、立入禁止になっていたが、当日は水が引いて立入可能となり一安心する。しかし、観察可能な地域は限られていたので、最初に多自然池に行ってみた。
 遊歩道からはサデクサ、アオヒメタデ、アキノウナギツカミ等タデ科の花と、池の中ではコオニビシ(図1)の白い小さな花が真っ盛りだった。
 一方、冠水の為タコノアシ(図2)は泥まみれになっていた。
 橋を渡れたので、欄干に巻きひげを絡みつかせたゴキヅル(図3)を見に行く。花序の上部に雄花が付き、基部には雌花をつけて、果実の表面にトゲがあり、一周する浅い溝がある。熟すとそこから簡単に二つに割れる、ゴキヅルの名前の意味が理解できる。
(以下略)